ふくちゃんの「暇つぶしの独り言」     15-2-1
  
      の復興期であり歴史の例外である」と説明します。例外かどうかはさておき、千九百八十年以降の欧・日が「資本の自己増殖」、米英が「異常な経営者の報酬上昇」によって格差拡大したのは動かしがたい事実です。
  ピケティーは所得格差よりも資産格差、とりわけ相続による不労所得に着目し「努力した者が報われる」べきで、「不労所得は民主主義の敵」だと断じます。この価値観には賛成なのですが、グローバル資本課税(毎年)は実現不可能といってよい難事でしょう。
  公正(「努力したものが報われる」)と平等(「誰でも食べて行ける」)のバランスは成熟社会のあるべき姿です。過度の公正は不平等を生み、過度の平等もまた公正性を毀損します。魔法の妙手はありません。経済成長、相続・所得への課税強化も当然ですが、教育の機会均等こそ採るべき第一の課題ではないでしょうか。  

「21世紀の資本」

トマ・ピケティー著

山形浩生・守岡桜・森本正史訳

みすず書房
2014年11月刊

5500円
 ピケティーはマルクスの「資本論」を意識してこの本を書いたのでしょう。両者の結論は解決策を除けばほぼ同じだとも言えます。
この本の凄さは、主要二十数カ国の納税第一次資料を使って過去二百年にわたる「経済格差」の歴史的実態をデータで明らかにしたことにあります。
 ピケティーの提言を簡単に纏めると・・・「資本主義は常に「資本収益率∨経済成長率」の不等式が成立するメカニズムを内包している。従って経済格差は今後も拡大する可能性が非常に高い。これを是正するには『グローバルな累進資本課税』以外にない」ということになるのでしょうか。
 確かに、彼の膨大なデータは、千九百十年〜千九百八十年の間を除いて主張通りの動きを示しています。経済格差が縮小したこの七十年間を、彼は「二つの大戦とそ  不労所得は民主主義の敵である