ふくちゃんの「暇つぶしの独り言」     14--12-4
  
     んだ最後の八年間も含めて、著者は冷徹な目でジョブズの五十六年の人生を捉え続けます。ジョブズの功績の偉大さ(完全主義・情熱・強い感受性・美意識)と、彼の人を人とも思わない罵倒・傲慢・無礼・中傷・悪鬼性との落差は、「天才」とか「個性」というような言葉では括りきれない大いなる不可解さが付き纏います。著者はその謎(出生の秘密・マリファナへの耽溺・菜食主義・禅への傾倒等々)に迫ろうとするのですが・・・。
 透徹した美意識で商品の完全さを求め、隅から隅まで思い通りにしたいというジョブズの欲望は、ついに彼を「現実歪曲フィールド」(著者の命名・・現実を夢・信念に従わせる)に至らしめます。
「顧客が望むものではなく、顧客が今後望むであろうものを本人よりも早く掴むのが僕の仕事だ」、ジョブの信念は死の瞬間まで揺らぐことはありませんでした。  

スティーブ・ジョブズ

W・アイザックソン
井口耕二訳

T・U巻


各1900円

講談社刊
アップルは、株価総額八十四兆円、日本国の年間税収(五十兆円)を超える巨大規模の会社です。本書は、その創業者・ジョブズの波乱の生涯を記した伝記です。
 盟友S・ウオズニアックとたった二人でアップルを立ち上げたのは一九七六年、ジョブズ二十一歳、ウオズニアック二十六歳でした。
MACT・UのPCで一躍脚光を浴び、続いてiTunes・iPod・iPhone・iPad・iCloud等、世間をあっといわせた製品はすべて、ジョブズの「エンドtoエンドをクローズドシステムにして自己完結させる」という思想で貫かれています。これは「オープンシステムから本当の創造性は決して生まれない」と言い切るジョブズの信念でした。ビル・ゲーツの「オープンシステム」と対極をなす考え方でしょう。
 アップルを追放されていた十二年間、膵臓がんで苦し  「すごい製品、それ以外は全て副次的だ・・・」