ふくちゃんの「暇つぶし独り言」     13-4-1
  
     
に分け両者の5年後の生存率を比較すれば決着する筈なのですが、自分の命を「くじ引き」に委ねる人が出てくるとは、これからも期待できないでしょう。
 近藤氏の言う通り、放置しても大きくならない・転移しない癌もあるし、早期発見して手術と化学療法に苦しんだ末に死亡するという悲惨な実例もあります。逆に早期発見で一命を取り止めたといわれる例(近藤氏によれば、これは「がんもどき」)も耳にします。
 癌の実体はまだまだ謎に包まれています。ただ、我々の二人に一人はその癌で死ぬというのが冷酷な現実なのです。議論の決着を待っているわけには行きません。 
 命の主人公は自分、管理責任者もまた自分です。医学の可能性とその限界を正確に知り、その上で方針を決めるのは各人の人生観でしょう。この本は、そのために一読の価値があると思います。  




近藤 誠著

平成8

文芸春秋社

1400円

 
 近藤誠氏は慶応大学医学部を首席で卒業、トップで講師に就任、乳がんの治療で「乳房温存療法」の日本におけるパイオニアといった経歴の持ち主ですが、何と言っても彼を有名にしたのは、二十年前に出版した「患者よ、がんと闘うな」でしょう。
 彼の論旨を簡単に纏めると「癌には『本当のがん』と『がんもどき』があって、『本当のがん』は発見した時には既に転移していて治癒は期待できない。『がんもどき』なら元々転移する能力がないので放置しても問題ない。早期検診の必要性はない」と言うことに尽きます。
 これに対して癌医者の多くは「癌は早期に発見すれば治癒の可能性が高い。早期がん検診が必須だ」と主張しています。この論争は二十年以上も続いているのですが一向に進展を見ていません。
 くじ引きで患者を「手術・化学療法組」と「放置組」



命の主人公は自分自身です・・死に直面したとき・・