ふくちゃんの「暇つぶしの独り言」     13-1-1  
      また数学科のC準教授は「数学は自由である」とした上で、4次元の世界では可能であると難解な論理を展開します。私には殆ど理解不能なのですが・・・。
 また、穴のないドーナツの中心部をくり貫いて食べ、「穴だけを残してドーナツを食べた、ともいえる。詭弁と言われるかも知れないが、屁理屈が賞賛されることもある」として『ベニスの商人』の裁判官の「肉をきっかり一ポンド、血は一滴も採ってはならぬ」という裁定を挙げるのは法学部のD教授です。
 「ドーナツを穴だけ・・・」という設問をしたのは現役の大学生であり、出版が「ショウセキカプロジェクト」という学生組織であることも面白い。執筆者十四人だけでなく、本来この問いには無数の解答がある筈です。ドーナツでも頬張りながら「自分ならどうする」と自問してみるのも頭の柔軟体操になるのでは・・・。  


「ドーナツを穴だけ残して食べる方法」


大阪大学ショセキカ
プロジェクト


大阪大学出版会

1500円
 「ドーナツを穴だけ残して食べる方法」という珍妙な名前の本に出くわしました。
ドーナツの穴はドーナツ自体が作っているので、ドーナツがなくなればその瞬間に穴もなくなる?筈なのに、
と思いながら読んでみると、なんと著者は大学のれっきとした研究者ばかり・・・。
 工学部のA準教授は、ドーナツを旋盤で同心円状にぎりぎりまで削り、最後はドーナツの内側を樹脂でコーティングしてドーナツを取り外すことを提案するし、文学部のB準教授は「ドーナツは家である」として、穴は「空間(space)」ではなく「場所(place)」なのだからドーナツを食べても消滅しないのだと言います。前者は「物」を対象としてひたすら切削に励む、後者は「概念」を操作して答えを得ようとする、夫々の学問の特質を見るような気がしますが、如何でしょう。 頭を柔らかくするために・・・