ふくちゃんの「暇つぶしの独り言」     13-1-1  
     ードは日本の貧困に眼を向け「いかなる野蛮国より酷い」と指摘することも忘れません。
 エジプトの政治指導者カミールは、先進大国ロシアを破った小国日本に驚きと賛嘆を示しつつ「この民族をここまで押し上げたものはいったい何なのか」と問いかけます。(「昇る太陽」一九〇五年)アジア・アフリカからの強い羨望と期待が感じ取れる一言です。
 敗戦後は、奇跡的な経済復興を遂げた日本の「集団主義」に関心が寄せられますが、元駐日米大使ライシャワーは日本の「対外関係への不器用さ・無神経さ・自信の無さ」に不安を隠しません。
 開国百五十年、日本の何が変わり、何が変わらなかったのか、失ったもの、得たものは何だったのか。己の姿を「時の鏡」に映すことも時に必要ではないでしょうか。本書は、その鏡の役を果たすものだといえます。


外国人による
「日本論の名著」


佐伯彰一
芳賀 徹編

中公新書

780円
  極東にあって、国境を持たないこの小さな島国が、世界の注目を集めたことが永い歴史の中で過去三回あったと編者は言います。開国と日露戦争直後、そして敗戦後の高度経済成長期がそれです。
 本書は、夫々の時代を背景に外国人が書いた数多くの日本関係図書の中から原著者の国籍・年齢・職業・性別を超えて選ばれた四十二編が紹介されていて、所謂「日本論」のように集約され抽象化されたものだけではなく、日記の類も多数所収されているのが、内容に厚みと客観性を与えているように思われます。
開国後日本を訪れた外国人たちが声を揃えるのは、日本の自然の美しさでした。例えば英国人バードは、東北を旅し田園風景を「桃源郷」だと言い、フランス人レガメは「自然の美、芸術の美が豊富にある・・・世界の庭となるに相応しい」と絶賛するのです。しかし同時にバ


開国百五十年、日本は変わったか