古都・京都に老舗を訪ねる     創業百年を超える蕎麦屋      08-6-10記
 古くから京都には菓子職が多い。宮中・公家・寺院などが取り行う儀式・行事に菓子が使われたためであろう。菓子職は当然素材で
ある粉を多量に扱いそれに熟達している。いつしか菓子に併せて「そば切り」の注文も来るようになったという。
菓子と蕎麦を兼業する
業態が誕生し発展すると言う京都ならではの特徴がここに生まれたのである。創業540年の尾張屋は江戸時代に「御用蕎麦司(宮内
庁御用達)」を務めたし、創業300年の河道屋は現在も比叡山延暦寺へ当主が毎年参上し「手打ち蕎麦」を献供している。遣唐使や留
学僧たちが京にもたらしたともいわれる麺食の伝統(京都起源説)に相応しい活況を取り戻しつつあるといえよう。  
本家 尾張屋 08-5-7 晦庵 河道屋 08-6-6 田毎本店 07-11-7
 前庭に背の高い泰山木、建屋は130年前の改築。柱はそのまま残っている。のれん、行灯も古い。1Fは座敷と椅子の部屋。小座敷は古い時代の残り香が漂う。北海道産の粉、七三機械打ち。味・喉ごし良。「蓬莱そば」五段重ね。   静かで心安まる空間。一番奥の庭に面した部屋に座る。建屋は古く老舗の雰囲気十分。蕎麦粉は北海道・十勝産。七三機械打ち。もっちりした歯ごたえ、丹後の山芋のせいかふっくらした感じ。出汁は濃くやや甘め。腰強い。    三条名店街にある繁盛店。女店員が忙しく働いている。そばは細切り、光沢があって喉ごし良。七三か?論機械打ち。創業は明治元年という。 
創業・寛政6年(1465年) 創業・享保8年(1723年) 創業・明治元年(1868年)
蕎麦と水 蕎麦粉100gを「蕎麦切り」にすると、茹でる時間によるが大体200g強になる。「蕎麦打ち」は最初から最後まで水との
格闘。先ずは「加水」。粉に対して結果としては45%前後の水を入れることになるが、多すぎても少な過ぎても蕎麦の出来栄えに大き
く影響し、最悪のケースでは「蕎麦打ち」を途中で諦めることもある。最後の
数tを入れるか入れないか、指先が覚えた感触に頼る以
外にない。後は水の蒸発との戦いになる。「延し」は素早くやらなければならない。加水してから切り上がるまで30〜40分が許容範囲。
蒸発が多いことを「蕎麦が風邪を引く」と言う。「茹で時間」が最後の勝負になる。つなぎの割合や切幅によって時間が異なる。最近の
流行は硬茹でが流行になっている。「腰がある」のと「硬い」のは本来は違った概念なのだが、最近は混同が多く見られる。
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