世界の蕎麦料理(ロシア編)  カーシャとブリヌイ             15-1-4
「母はソバの実のカーシャ、父はライ麦の黒パン」と諺にあるように、ソバはロシア料理の基本になっている。革命(1917年)前のロシア人の食
生活はロシア正教への信仰と結びついて非常に抑制的で、肉はもとより魚も自由に食卓には上らなかった。ソバがロシアへ伝播したのは
15世紀頃といわれているが、ライ麦と並んで栄養価の高い穀物としてロシア人の常食となったのである。粒食(カーシャ・粥)と粉食(ブリヌイ・
パンケーキ)が主で日本のような線状麺は無いという。「カーシャ」はモルドバ・ブルガリア・ベラルーシ・ポーランド・リトアニア・ラトビア等の周
辺諸国にも広がっていて種類も豊富である。「ブリヌイ(ブリニ)」はイクラ・キャビアや野菜を巻いて前菜として、またハチミツ・ジャム等を付け
てデザートとしても幅広く食されている。ロシア・ウクライナが中国と並んで世界の一大ソバ生産・消費国となっているのは故あることである。
 
カフェ・ボーチカ(谷町六丁目) 14-12-20 上段:カーシャ、下段:ブリヌイ(左)
      カーシャの付け合せ(右)
ボーチカ(福島・浄正橋) 14-12-11
福島ボーチカの姉妹店。今年7月に開店した。
女性客をターゲットにしたお店。関西テレビの
「よーいドン」で紹介される予定。名前のボー
チカは日本語で「つぼみ」を意味する。ペアの
客が多い。店内は勿論、食器・置物も可愛ら
しい装飾でいっぱい。
「ソバの実のカーシャ」、牛乳で粥風に仕上げ
・・オートミール(燕麦)と似ている。カーシャ
はロシアではハレの食べ物で「カーシャを煮よ
う」といえば「宴会をしよう」と同義だという。」
「ブリヌイ」はハチミツとピンク色のサワークリームをぬってデザートに。今回は小麦粉製。
オーナーの岩崎真和さんがワインの輸入会
社にいた頃知り合ったロシア人女性・ナターシ
ャさんからロシア料理を習い8年前に開店した
。福島・浄正橋近くにある屋台・立ち食い風の
お店。ロシアの家庭料理をそのまま持ち込
んだ気楽でリーズナブルなお店である。
 
ソバの各地への伝播 ソバの起源地は中国・雲南/四川省の高地であるとするのが定説(京大・大西教授)である。そこから世界
各地へ永い時間をかけて伝播して行ったわけだ。北進ルートは、雲南から中国・東北(旧満州)を経てモンゴルに入り、枝分かれして一方
は更に北上してシベリヤへ、他方は南下して朝鮮半島・対馬を経て日本へ至った(別に、北方渡来説もある)と言われている。もう一つの西進
ルートには、ヒマラヤ・チベットルートでバングラデシュ・ブータン・インド・ネパール・パキスタンへ至り、更に西方(ヨーロッパ・アメリカ大陸)へ
と伝播していったとされる。これらの地域はいずれも現在もソバ食が盛んである。ダッタンソバは普通ソバよりも冷涼高地に適し、中国からネ
パール・インド高地、チベット等に広く野生していて起源地を特定することは難しいという。(氏原暉男、俣野敏子、石毛直道氏の諸著作より)
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