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蕎麦は昔から度々文学に登場する。例えば夏目漱石・池波正太郎は江戸っ子の「気質と粋」を愛したがゆえに蕎麦をしばしば作品 に登場させることが多かった。松本清張は蕎麦屋の二階で「波の塔」を書き下ろした。また俳諧の世界にも蕎麦を題材にしたものも 多い。可憐な白い小さな蕎麦の花に心惹かれ「そば切り」の素朴さと孤高さに「侘び寂び」を感じ取ったのであろう。「そば時や月の しなのの善光寺」(一茶) 勿論芭蕉・蕪村にも数多く名句が残っている。さて、芦屋といえば谷崎潤一郎が思い出される。谷崎は美 食家であった。京都には「いづう」「たん熊」など谷崎がこよなく愛した店があった。が、関西の蕎麦は口に合わず、「神田やぶ」が変 わらず第一のお気に入りであったといわれている。現在の西宮・芦屋界隈の蕎麦事情を”江戸っ子”谷崎に見せたかったものだ。 |
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土山人(芦屋) | あんばい(西宮・夙川) 08-4-10 | かぶらや(芦屋・打出) 08-4-11 |
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JR芦屋と阪急芦屋の中間にあり便利。無 垢の木と陶器をあしらった内装。「土山人」 の名は、陶器の作者の号をつけたとのこ と。せいろ蕎麦を食したが、喉ごしの良い バランスの取れた蕎麦。居酒屋的風情が あって、いちど夜訪れたい店である。 |
JR夙川駅近くにある。桜見物を兼ねての 訪問だった。そばがき・出汁巻きで春鹿を 嗜む。締めに田舎そば(粗挽き十割)、透 明感のある細切り。味もコシも強い。ご主 人に会いたいというと、「嫌がります」と断 られた。 |
阪神・打出駅徒歩3分。狭い路地を入った ところで写真が撮れない。蕎麦は薄緑色 の極細切り。味は薄いが腰のある出来上 がり。日本酒に「5酌」があるのが嬉しい。 ご主人は脱サラ、真面目な人柄。メニュー の最後に「蕎麦の粋な食べ方」がある。 |
蕎麦の花 種まきを終え一ヶ月ほどたつと蕎麦の花が咲く。白い可憐な花である。一面に広がる蕎麦畑は壮観で美しい。芭蕉は 「蕎麦はまだ花でもてなす山路かな」と詠んだ。蕎麦というと一般的には「白い花」と思いがちだが、実際には「赤い花」「薄緑色の花」 もある。蕎麦には「普通そば」「韃靼そば」「宿根そば」の三種があって、このうち「韃靼そば」は苦味があるので日本で栽培されたのは そう昔の話ではない。この花が「薄緑色」だともいう。「普通そば」は殆どは「白い花」だがネパールやブータンでは「赤い花」をつける そうだ。栽培される土地によって同種でも花の色が変わるのだ。気温・気温差・日照量・地味が影響するらしい。日本にも希少ではあ るが赤花の在来種があり、元信州大・氏原教授が十数年の歳月をかけて開発した新品種「高嶺ルビー」「グレートルビー」もある。 |
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