関西を代表する残された名店探訪   凡愚・玄と並んで名声を馳せる 08−10−22    
我が国は世界の中でも老舗大国と言われるくらい長寿のお店が多い。江戸時代に発する蕎麦屋も老舗と呼ばれる店は少なくない。
東京の砂場・更科・藪、京都の尾張屋・河道屋等々・・・枚挙に暇が無いほどである。が、「老舗」にきちんとした定義があるわけでも
ない。広辞苑を引くと、「老舗」とは(1)先祖代々の業を守っている店、(2)先祖代々から続いている繁盛店、とある。どうやら、代々
受け継がれた家業が繁盛し世の中の評判が定着するだけの時間の風雪に耐えて来た店に与えられる勲章のようだ。一方、老舗と
は異なり、「名店」と一般に呼ばれる店がある。広辞苑によると「有名な店」とだけあって甚だ抽象的である。

春知(生駒) 08-9-21 拓朗亭(たろうてい・亀岡) 06-12-20 堂賀(どうか・三宮) 08-9-19
 元は大阪北新地に店を構えていたが
現在は生駒山奥の古屋に転居した。「春
知」の名に相応しく季節感に溢れる環境
にある。屋内から前が一望、緑が目に
しみる。天井には「」と書かれている。
ご主人は「吉田拓郎」の熱烈なファン
で、「朗」の字を一字だけ変えて店名に
したという。当店で学んだ職人は多い。
「唐変木蕎麦之会」の代表を務める。
小奇麗な造りのお店。洋食文化の街・
神戸の名店。「田舎十割」と「さらしな」
を食す。「さらしな」は極細切りだ。
店名
は「これでよいのか
どうか」・・自省のた
めにつけたという。
創業30年になる。
新蕎麦のこと 季節感を大切にする日本人は元来初物好きである。とりわけ江戸っ子の「初物好き」は有名なところ。「初物を
食べると寿命が75日伸びる」という俗信もあって、幕府が「初物買い自粛」のおふれを出したが火に油を注ぐ結果になったという。
「目には青葉 山ほととぎす 初鰹」のカツオに次いで蕎麦も初物(秋新)が大いに愛でられた。蕎麦屋入り口の「新そば」」の貼り紙
に蕎麦好きは心をときめかしたのである。もともと味自体は一冬越えたものが熟成して美味いとも言われていたこともあり、また冷
凍・冷蔵設備の普及によって玄蕎麦の長期貯蔵が可能となったこともあって、最近では以前に比べ「新そば」を喧伝することが次
第に少なくなってきたように思える。江戸っ子の初物賞玩の気風も薄らぎ、日本の秋の風物詩がまた一つ減ることは真に寂しい。
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