三大穀物とそば(雑穀)の動向             15-9-1
世界三大穀物はトウモロコシ・コメ・コムギで全穀物生産量の87%、食物カロリーの43%を占めるという。トウモロコシは中央アメリ
カに生まれ
今も中南米・アフリカの主食。コメは東南アジアに起源し消費される。コムギは西アジアが原産地でヨーロッパ・北アメ
リカ・オーストラリア等の主食で世界最古の穀物といわれている。この三者とも世界人口と共に確実に生産拡大の一途にある。全
人類の生命維持カロリーの約半分を占めるにはそれなりの理由があろう。生産性・加工性・保存性・食味等に優れた穀物であるこ
とは間違いあるまい。さてその他の雑穀類(ソバ・ヒエ・キビ・モロコシ・・・)は20世紀初頭以降急速に生産量減少の一途を辿って
いる。日本におけるソバは唯一の例外(下図参照)である。独自の「そば切り」文化の発展がそれを支えていることは間違いない。
かかかび(三重・津市) 15-8-5 日本の雑穀類の作付面積推移 いまとみ(博多) 14-8-1
津市から車で数十分、蕎麦屋としての立
地に恵まれているとはいえない。店の名
前「かかかび」は梵語の「おんかかびさ
んまえいそわか」から採ったと言う。当主
は元商社マン。甲子園球児でもある。
「おいしい穀物の科学」(井上直人著)より
転載。蕎麦の作付け面積に歯止めがか
ったのが1970年代後半のこと。明治以降
の機械打ち全盛時代から、ようやく「手打
ち」復活の兆しが見えた頃と符合する。
 
渓流釣りが趣味の当主。椎葉村辺りまで
釣りに出掛け椎葉ソバに出会ったのが縁
で、数少ない「椎葉そば」を提供する店に
なった。バックグランドミュージックにジャ
ズが流れるお洒落なお店でもある。
 
雑穀とは 人間の生存に不可欠な穀物には、主穀・雑穀・菽穀・疑穀・油穀がある。主穀はイネ・ムギ・トウモロコシ、雑穀は
ヒエ・アワ・キビ等のイネ科の穀物、菽穀は豆類、疑穀はソバ・アマランサス・キヌア等、油穀はゴマ・ケシ・ナタネ等を指すとある
(日本雑穀協会)が、一般的にはここで言う雑穀に疑穀を加えて「雑穀」というらしい。共通する特徴は、不利な環境条件化でも生
育し長期保存に耐えるだけでなく極めて栄養価に富んでいることが挙げられる。豊かな社会現出と共にその存在感が希薄になり
つつあったが、近年栄養バランスの良さが見直され現代病(現代の江戸病い?)への効果が期待されている。東北大・岩手大等
による全国調査(戦前戦後)で雑穀・豆類・海草類を食す「長寿村」の存在が各地で発見されている。再び「穀菜食」の勧めである。
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