雑穀は人間の長寿に大きく関わっている          15-12-1
東北大学の故近藤正二名誉教授は35年間(1937〜1972)かけて日本全国の長寿村(70歳以上が多い)と短命村(少ない)を尋ね
歩き長寿と短命の原因を探る調査を行った。その結果、長寿村の食生活が雑穀・野菜・大豆・海藻中心+厳しい労働であるのに
対し、短命村は白米+動物性たんぱく質摂取が多い、ことが判明した。また海外の事例では、九州大学の故川崎晃一名誉教授
の30年にわたるネパール山岳民族を対象にした疫学調査があるが、結果は全く同様であった。雑穀・野菜類が含有するビタミン・
ミネラル・食物繊維・ポリフェノール・(酵素)等が長寿に大きく関わっていると推定されている。寒冷地や乾燥地・強光地で栽培さ
れる雑穀の生育環境が生物学的性質を決める遺伝子に影響を与えていると考えらている。食物には未知の分野がまだまだ多い。
室町砂場(東京) 15-11-11 上段:砂場の「天もり」
下段:志ま平の蕎麦寿司
志ま平(東京・神楽坂) 15-11-11

老舗らしい落ち着いた雰囲気があり、客筋
も良いことが一目でわかる。この店の最大
のお薦めは「天もり」で発祥の地でもある。
明治二年創業で150年余の歴史を持つ。店
の前にある柳が一段と風情を醸している。
上段の「天もり」は極厚の掻き揚げ天麩
羅は甘汁をたっぷりと吸い込んで絶妙の
漬け汁になっている。これで一杯と生きた
いところだが。下段:志ま平のそば寿司。
寿司も良いが器が素晴らしい。魯山人作。
 
江戸そばではなく「巽蕎麦」を掲げる。巽
は江戸城からみて南東の方角。意気と
侠気を売り物にした深川の芸者集を言
う。ご主人の嶋田さんは一茶庵で学び
独立。繊細な料理は芸術品。酒も良い。
 
 
米と小麦と精白 何故日本人は米を主食としたのか。穀物の生育環境の最大のものは「気温と湿度」で、イネは高温多湿を
好む。日本の平野部や盆地は雨が多く暑い、こうした条件に最適な作物はイネであった。またイネは加工性も貯蔵性にも優れてい
て、その上に栽培単位面積当たりの人口扶養力は先行した焼畑農耕に較べ約十倍であったという。収量が安定的であるのも好ま
しいイネの性質である。穀物はエネルギー源としてのデンプンを多く含み、ビタミンB群も多量に含む。糖代謝からみると大変合理
的な食品である。ところが、美味しくするために精白すると、栄養価は激減する。コメ・コムギのいずれのビタミン・ミネラルも数分の
一にまで減少し健康問題が出てくるのである。雑穀の効用が見直され、特定穀物への過度依存・偏食が問題視されるようになった。
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