布海苔をつなぎに使う「へぎそば」 そばと織物文化の融合   16-5-1    
越後平野は我が国最大の米産地である。夏は日照時間が長く雨が少ない。冬の降雪が夏の米栽培に必要な豊富な水を供給す
る。だが、越後平野を取り巻く中山間地には「ソバ」の栽培が古より行われてきた。妙高は「霧下そば」で知られるし、十日町、小
千谷も有数のそば処である。新潟といえば「へぎそば」が有名だ。布海苔をつなぎに使い、へぎという独特の器に盛り、辛子が薬
味に使われる。小分けして盛り付ける際の動作から「手振りそば」ともいわれている。「布海苔」は特産品の「小千谷縮」の糊付け
に使われていた。「へぎ」は木の皮を”剥ぐ”の訛ったもので、木製の縁が高くなった器を指す。ハレの日の「振る舞いそば」の習慣
と小千谷縮の伝統が「つなぎ・へぎ・小分け」の形式を生んだのである。「へぎそば」の特徴はコシの強さとツルツル喉ごしの良さ。
和久傳「五」(京都・北大路) 16-4-9 「へぎそば」と「布海苔」 御座候(姫路) 16-4-1

京料理屋「和久傳」が経営する蕎麦屋「五」
(いつつ)、一昨年オープンした。小料理屋
風のカウンター中心のお店。名前の「五」は
そばの五色(黄の根・紅の茎・白の花・黒
の実・葉の緑)から採った。酒も美味い。
 上段:ひと口大に小分けして盛りつけた
「へぎそば」。器を「へぎ」と呼ぶ。
下段:日本近海で採れた「布海苔」(海
草)。刺身のつまや味噌汁の具、織物
の仕上げの糊付けに使われる。
店の名前が商品名になるほどのブランド
になった回転焼きが本業。その御座候が
そば専門店を経営する。45席の大型店舗
北海道のソバ粉を中心に石臼で挽く。
 
 
ソバのゲノム解読 ソバのゲノム(全遺伝子情報)の解読に京大・石川県立大・かずさDNA研究所・農研機構・新潟薬科大
グループが成功した。ソバの全ゲノムの配列を解読すると共に約三万六千個の遺伝子の機能が推定できたのである。これまでは
ソバが他家受粉のため交雑し易く、遺伝子情報が世代ごとに変わるので育種が難しく、ゲノム解読も遅れていた。ソバの泣き所で
あった生育の不安定さ(倒伏・脱粒・気温や湿度環境への耐性等)の改善や激しいアナフィラキーショック(ソバアレルギー)の原因
であるアレルゲンの除去も可能となったという。そばにモチモチ感を持たせたり、香りの高いそば、ルチンが豊富なそば等、品質改良
が大幅に進むこととが期待される。既に東大とトヨタのグループでは3年間6世代の選抜交配で44%の収量の増加が実現したという。
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