江戸っ子の「粋」とそばの打ち方・食べ方    17-4-1           
「郷土そば」には夫々地域独自の打ち方・食べ方の流儀がある。江戸では「粋」と「そば」がマリアージュして「そばの先をちょっと
出汁に漬け、一気に啜り込み噛まずに喉越しを楽しむ」という独特の食べ方が生まれ、外食化・趣味食化した。それに呼応して
「二八(喉越し)・切りベラ23本(太さ1.3o)・そば八寸(長さ24cm)・三ツ箸半(盛り)」等のそば打ちが定法となった。一方、地方
では江戸と異なってそばは主食であり、じっくり噛んで食感を楽しむ食べ方になる。そばは皮まで挽きぐるみ(黒っぽい色)で太
切り(2o前後)・盛りも多いのが普通である。極めて大雑把に分けると日本には洗練された江戸風のそばと素朴な地方色豊か
なそばが存在するといえよう。しかし時代とともに江戸そばの影響で、個性的な「郷土そば」が減衰しつつあるのが気掛かりだ。
ろうじな(京都・御所南) 15-11-26 そばの盛りの違い 笑日志(大阪・北浜) 17-1-11

店主・大重貴裕さんはかつての名店「な
かじん」(廃業、現在は天婦羅屋)で修業
。カウンター席とテーブル2卓のこじんま
りしたお店。岡山 ・蒜山産のそば粉十割
。店名の「ろうじな」はロシア語で「祖国・
故郷」の意であるとは大重さんの説明。
上段は横浜の蕎麦屋「味奈登」の富士
山盛り(500円、高さ15p・重さ1s)と
下段は東京の某老舗蕎麦屋のせいろ
そば(700円・高さ?・重さ200g前後?)

さて貴方はどちらを選びますか?
地下鉄北浜から徒歩5分。川沿いにある
全部で12席のこじんまりしたお店。東京
の玄庵で修業して腕を磨き、3年前に開
店した。「絹挽き(細切り)」・「田舎(玄そ
ば)」・「粗挽き(20メッシュ)」の三種類が
基本。夫々に味わいのあるそばである。 
 
そばの盛り 椎名誠が東京の或る老舗蕎麦屋の盛りの少ないのに怒りを爆発させたエッセイ(二編)を書いたが、盛りの少な
いのjに驚いた人は決して椎名一人ではあるまい。江戸そばの格言に「うどん三本、そば六本」というのがある。一気にそばを啜
り込む江戸っ子の粋な食べ方には、そばを六本程度がちょうど良いといった意味である。江戸そば打ちの定法をすべて重ね合
わせみると、江戸そばの一皿の盛りは、「1.3o(太さ)・24cm(長さ)のそばを21本(6本×3.5箸)」ということになる。これは
如何にも少ない。江戸っ子にとってそばは腹を膨らませるものではなく、銭湯帰りに日本酒を一杯引っかけ小腹を鎮める「おや
つ」だったのだ。並木藪の初代堀田勝三さんは、「江戸っ子は、すしとそばで腹をはらしちゃいけないよ」と常々言っていたという。
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