大西近江元京大教授の「ソバの祖先種」発見 フィールドワークの成果 18-11-1
1990年10月、大西近江は中国南部・雲南省の高地でソバの祖先種を発見した。それは一世紀を超えて定説とされていたド・カ
ンドル(スイスの植物学者)の「シベリア・アムール川流域起源説」を覆す大発見だった。かねてからド・カンドル説に疑問を持つ
学者のある中、大西はその論争に決着をつけるべく1980年代後半から2006年にかけ二十数回にわたり単身・自費で探査を行
ったという。或る時は未開放地区へ迷い込んだり、奥地に住む部族の集団に取り囲まれてしまったり、いつ来るとも知れないバ
スを野宿覚悟で停留所で待ち続けたり等々。そして遂に雲南省北部に広がる「三江地帯」に自生する野生祖先種が栽培ソバに
最近縁であることが遺伝学的にも証明された。恩師・故木原均(1893〜1986)の「コムギ」の祖先種発見に続く快挙であった。
こばやし(神戸・北野坂) 18-9-6  中国雲南省・金沙江地区に咲くソバ花 ろあん堂島店(大阪・北新地) 18-9-20
有馬の「むら玄」のご主人逝去を機に
独立したという。お洒落でセンスの良
いお店。ご夫婦ならではの息の合った
仕事ぶり。当地にオープンして3年目
、固定客が増えて昼食時は満席。
金沙江(長江上流)、中国雲南省に咲
くソバの野生種。(写真:大西近江著
「ソバ属植物の種分化と栽培ソバの起
源」より転載)。
この深山峡谷での単
身探査をするのは相当の胆力が必要。
  
篠山の名店「ろあん松田」の堂島店。
ご両親は丹後の久美浜のホテルで営
業。篠山店は長男がご両親の跡を継
いだ。堂島店は長女の鮎美さんが3年
前に開店。新地の客がターゲットか?
 
「ソバ」研究とフィールドワーク 「フィールドワークも才能です」と大西は喝破する。植物の研究はフィールドワークと実験
で構成される。大西は学生たちに「フィールドで自分の眼で見て、他人より良質の材料をより沢山採って来い」と教えるという。
論争は結局のところ実験材料が決め手になるからである。フィールドを駆け回るだけではないのはもちろんのことである。「現地
へ行くと、まず、高い所に登って、全体を俯瞰します。ここにありそうだと見当をつけて行きます」と大西は言う。学生に「何故わ
かるんですか」と問われるが、「自分でも不思議ですが、だいたい当たります」という(暗黙知)。「チャンスは平等にやってくると
強く意識している人はチャンスを掴めるが、でなければチャンスは通り過ぎてしまう」とは故木原均の言である。  拳拳服膺。
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