個性豊かな若手職人が活躍する店              平成21年3月25日記
蕎麦屋は商店街から離れた辺鄙なところにあることが珍しくない。わざわざそういう場所を探して移転するケースもあると聞く。
今や一部の蕎麦屋の物語戦略になっている観がする。「男の隠れ家」化を狙ってのことであろうか。そもそも蕎麦屋の始まりは
天秤棒を担いで行商した「棒手振り」である。その後「屋台店」へと変わり、店構えの蕎麦屋が増えるのは江戸中期以降になっ
てからのことという。中には高級料亭ばりの大店もあったようだが殆どは小規模な店舗であった。その状況は現在も変わらな
い。三立て蕎麦に拘り、店主の目の届く範囲はたかだか十数人まで。一度に蕎麦を供する事の出来るのは3〜4人が限度とも
いう。若手そば職人の活躍に期待したい。
 
蕎麦人(京都・精華町) 三文銭(京都・花見小路) からに(大阪・福島)
   
蕎麦屋には珍しいオープンな空間。店内
は広い。ご両親始め家族総動員体制で
仕事をしている。ご主人は河口湖畔ホテ
ルの板前出身40歳。客との対話を重視
する「蕎麦屋好き」泣かせのタイプ。玄そ
ば(田舎)と丸抜き(せいろ)の2種類。
祇園の狭い路地を入った角地にある。 夜
だけ営業をする(〜午前2時半)蕎麦屋に
しては珍しい形態。店内は小料理屋風で
お洒落。祇園の夜遊びの締めに行く店。
芸妓さんもよく来るという。ご主人33歳。
ご母堂がお手伝い。
 店内は天井も含めて抽象画が飾られている。 棚にはハワイのサーファー「カラニ」の写真がある。中央に丸卓7席のみ。細切りと粗挽きの2種類。ご主人は枚方・天笑で修行、その関係で暖簾の形・素材を同じにしたという。
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蕎麦と食音 ズズズッと音を立てるのが蕎麦を食べる時の作法という人もいる。半分ほどを出汁につけ一気に空気と共に
啜り込むのが
蕎麦を美味しく食べる秘訣だとも聞いた。最初は躊躇するのだが慣れると「成る程」と納得出来る合理的な食べ
方だともいえる。西欧人が聞いたら卒倒するかもしれない。考えるだけでも可笑しい。音を立てるのは蕎麦だけかというとそう
でもないようだ。茶道の吸い切りも音をたてるものだというし、ワインのティスティングで、ワインと空気を大きく音を立て口中で
攪拌するのを見たたことがある。とはいえ音を立てて食べることは国際常識では通用しない。「味わっていますよ」「美味しかっ
たよ」という気持を表す敬意のサインのレベルに止めるべきだろう。それも日本の蕎麦屋だけに通用すると心得るのが至当。
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