翁・達磨系列の蕎麦屋を訪ねる                   09-4-25記
 料理職人の世界は洋の東西を問わず技量の習得はOJTによって行われている。蕎麦職人の場合もその例外ではない。概ね
蕎麦屋を開業するに到る道は次の3っである。1)家業の継承(老舗の場合) 2)蕎麦道場 3)有名店への弟子入り・・1) 2)
の場合も3)のステップを踏むことが多いようだ。狭い蕎麦屋の世界に濃密な人間関係が透けて見える。蕎麦打ち名人・高橋邦
弘氏は広島に「雪花山房・達磨」を開業しているが、営業よりも「教育・後進指導」に重点が置かれている。直接指導した弟子の
多くは各地で開業、孫弟子も全国に誕生しつつあり、高橋氏の影響下にある蕎麦屋の数は年々確実に増加の一途を辿ってい
る。氏の蕎麦打ち(二八)技術が「究極の完成品」と言われて久しいが、後進によってなお進化を続けて行くのであろうか。
なにわ翁(大阪・西天満) 07-2-15 あたりや(大阪・三国) 09-1-14 おがわ(京都) 08-11-25
 
 三代続いた街の蕎麦屋を三代目のご主人が「蕎麦専門店」に変えた(1990年) 山梨・長坂の「翁」で修行。師匠より「翁」の屋号を使う許しを得た。ご主人不在でお母さんが店を切り盛りしている。店内一枚板の卓。十割りもあるが二八が売り物。 落語の 「時そば」にでてくる名前を店名にした。元々は板前、「なにわ翁」「洞爺湖達磨」で修行。親爺の代の米屋を改装してオープン。そばは二八、やや硬いが喉越しは良い。客に対する気遣いは抜群。寒い日だったので三千盛をいっぱい。 気をつけていないと通り過ぎるほど目立たない。 町屋を改装。卓は白木・・珍しい。富山の「達磨」で修行する。高橋邦弘氏の孫弟子にあたる。
二八は緑色・細切り・硬いが艶のある蕎麦。出汁は辛目。ポタージュ系蕎麦湯。
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箸の文化 匙の文化 世界の食事形態を見ると・・手食文化圏40%、箸食文化圏30%、匙食文化圏30%に3分される。
元々は全て「手食」であったが料理に火を使うようになって箸が考えられた(紀元前15世紀・殷の時代)。匙・フォークが使われ
たのは14世紀になってからという。日本・中国・朝鮮・ベトナムは「箸文化圏」に属するが、中国・朝鮮は「匙主、箸従の共用文
化」」であるというのが正確なようだ。となると純粋な「箸文化」は日本だけと言うことになるのか?この用具の違いが各国の料
理メニュー・食器の形態や食礼(マナー)等の差を生んだ。箸を使う典型的なメニューに「麺」があり、麺が普及しているのは日本
を始めとして中国・朝鮮など「箸文化圏」に集中している。箸のみを使用する日本で蕎麦・うどん・そうめん等が格別に多食され
るのにも理由があるようだ。 (参考「食文化入門
石毛直道編)
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