松本全市で競う蕎麦屋群(信州蕎麦)       07-10-31記
 役行者(634〜706)が木曾駒ケ岳で修行した際、病に倒れ世話になったお礼に渡した一握の蕎麦種が信州蕎麦の起源である、
とも伝えられる。真偽はともかくも、後になって高遠藩主・保科正之(徳川秀忠の隠し子)が救荒食物として藩内に広く普及させた。
以来「信州」は蕎麦を全国に伝播
させる中心の役割を果たして来たことに異論はあるまい。。信州の一部では米と並ぶ主食の地
位を占め、その担い手(打ち手)は主婦であった。
高度な技術を持った蕎麦職人が打つ洗練・趣味化した江戸蕎麦の対極にある
とも言えるだろう。江戸蕎麦に慣れた舌には信州蕎麦は手強い。盛りも多いので腹にしっかりと収まる。小腹の虫を鎮めることを
本来の目的として発展してきた江戸蕎麦とは一線を画する。蕎麦の番付け、東の横綱に格付けされるのが順当であろう。
榑木野(くれきの) もとき こばやし
 JR松本駅舎内にある。客足の絶えない
繁盛店である。安曇野産粉の二八・細切り。

 松本城から数分の便利な場所。「吟醸
そば」を注文。
薄白く透明感のある細切り。
更科粉十割の蕎麦。見事なできばえであ
る。最近では松本でも有数の蕎麦屋であ
るとの噂が高い。
 九一蕎麦。量は東京の倍以上ある。
細切り。出汁は江戸風で辛口。木材を
多用したクラシックな風情の店。店奥で
手打ちの実演が見られる。。
創業120年
の松本隋一の老舗といわれる。
蕎麦打ちの道具 蕎麦打ちでは「一鉢、二延し、三包丁」という。 一番大事なのが地味な「水回し」、次に均等に「生地を伸す」
こと、最後が同じ幅に「切り揃える」ことだという意味である。 蕎麦道具も「木鉢」、「延し板と延し棒」、「包丁」が最低必要になってく
る。木鉢は大小様々、木乾本漆塗からアルミのボールまで腕前と予算次第ということになる。包丁も鋼〜ステンレスまで色々あり、
長さ30〜36センチ、重量は1Kg〜。延し台は最低90cm角、桐・桧・いちょう等・・。延し棒・巻き棒併せて3本(江戸流)、長さ60〜90、
径3cmで紫檀・黒檀・いちい
等・・真正の蕎麦屋はもちろん素人まで道具に凝るのが常。江戸時代の伝統を継いでいて贅沢を言
うと限が無い。
東京なら合羽橋、大阪なら道具屋筋ということになるのだが、最近ではネット購入も可能で、入手は容易になった。