無  題   題材とお店が噛み合いませんでした                10-1-23         
茹で上がった蕎麦の素材を重量比でみると概ね蕎麦粉35%水65%前後になる。元々蕎麦粉には15%前後の水が含まれて
いるのだが、捏ねる段階で45%程度加水(蒸散もある)され、更に茹でる時に麺体に多量の水が吸収されるからである。職人
気質の蕎麦屋が水に拘るのはそのためだ。「名水百選」など美味い水を求めて転地する蕎麦屋も珍しくはない。とはiうものの
水道水のカルキ臭は論外として、とりわけ「蕎麦に適した水」の基準がある訳ではない。経験的には「軟水」(硬度100以下)が
良く、PH値6〜7が適していると言われている。アルカリイオン整水器を使う店も多い。硬水で打った蕎麦は腰が強いが、つな
がりはよくないといわれる。軟水はこの反対になるのだが、まだまだ不明な点が多い。科学のメスが入ることを期待したい。
 
有漢や(西宮・苦楽園)  10-1-8 山ぶき(京田辺市)  08-7-29 石   臼
 
ご主人は一茶庵・二代目片倉敏男氏に
直接学んだ。一茶庵定番の「二八・田舎
・十割」が基本メニュー。蕎麦屋には珍し
いオープンキッチン方式で会話が弾む。
静かに流れるジャズ。
ご主人は脱サラ族。丸抜きからの自家製
粉。拘りの蕎麦屋である。蕎麦打ちのコ
ツは「蕎麦に触れる時間を少なく」だと言
う。蕎麦打ちの基本を大事に、と理解し
た。これからが楽しみの蕎麦屋であろう。
 上段写真:、一般的な石臼。一分に16
回転くらいのゆっくりしたスピードで石臼
を回す。回転数を増やすと熱が発生して
味が落ちるという。1時間に1kgが目途
だ。下段写真:目立てが石臼の生命。
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蕎麦と石臼 江戸の昔、蕎麦粉は全て「石臼」で挽かれていたのだが、やがて製粉所で大量に「ロール挽き」されるようにな
り、蕎麦屋は蕎麦粉の状態で仕入れるようになっていった。ところが一部の「拘りの蕎麦屋」が石臼・手挽きを再開したことか
ら、最近は自家製粉が再び広がりを見せようになった。石臼の石の種類、溝きり幅・深さ、上臼と下臼の間隔、回転速度、蕎
麦粒の投入量などを調整することによって、蕎麦屋は「自分好みの蕎麦粉」を自由に手にすることが出来るようになったので
ある。自ら石臼の目立てをする京都の蕎麦屋「いしたに」(参照No11)では「利き酒」ならぬ「利き石臼」を始めた。同じ蕎麦粒を
4種の石臼で挽き、味比べしてもらう趣向だ。粒食(コメ)主流の日本は石臼の開発では粉食(パン)の欧州に遅れをとる。
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