京都・大阪・神戸・・・蕎麦の三都物語         10-8-20
雑誌「自遊人」が「絶滅寸前の在来種の蕎麦」を特集した。蕎麦は他殖性植物で虫を媒介として受精するため交雑が進みやすく純
粋種の保全が難しい。純粋在来種が絶滅の危機にあるというのは理解できるところである。元々蕎麦は脱粒性が高い上に風によっ
て倒伏し易いこと等の欠点があって、生産性向上のために種々の品種改良が行われて来た。その結果、確かに収穫量は上がるの
だが一方では味も香りも落ちたといわれている。そんな中で在来種を守ろうという動きが最近盛んになりつつあるというのが内容で
ある。純白な更科蕎麦が信州で育たず江戸で洗練されて開花した如く、郷土蕎麦の低迷が囁かれて久しい。各地の町興しには、夫
々の地方が持つ伝統固有文化の発信がベースになる筈である。それに蕎麦の在来種が些かでも役に立つのでは二かとも思う。
 
もうやん(京都・上賀茂) 09-11-26 無文(大阪・福島) 10-6-2 ふくあかり(神戸・御影) 09-9-25
 
表通りに面したモダンな佇まい。40席は
ある広い客席。結婚式やパーティーに使
われることが多いと聞いた。種類も和洋
多種。店主は180cmもある巨漢、店名
はドラマ「どてらい奴」のモーヤンから。
簡素な入り口、「むもん」とだけある。2F
がお店。主人は元グラフェィックデザイナ
ー。店内に作品が飾られている。ベレー
帽風のお洒落な姿で挨拶にでてくる。昼
は十一、夜は十割、その場で打つという。
 
入り口は板戸だが窓は大きく明るい。店
内は白壁に黒の調度品で統一。お洒落な
お店である。蕎麦は極細、味は薄い。出汁
はやや甘口。阪急御影の住宅街にある。
主な客筋は女性と診たが・・・。
変わり蕎麦 つなぎ以外の混ぜ物を入れて打ち上げた蕎麦の総称だが、混ぜ物の色が鮮明に出るものは「色物」とも言う。
混ぜ物を入れるので土台になる蕎麦の色が「純白」であることが必要になる。つまりは「更科蕎麦」が必要となるわけだ。製粉・製麺
技術が向上した江戸中期に「変わり蕎麦」が誕生したのも故あることである。「玉子蕎麦切り(らんきり)」・胡麻・柚子・蓬等々、品書
きは増え50種類を超えた
といわれる。「海老切り」「鯛切り」「鮑切り」など江戸前の魚介類もあったし、「三色そば」「五色そば」、祝
儀の「紅白そば」などもあって賑やかであったらしい。普通のそばでは飽き足らない当時の通人たちの遊び心と合致したためであろ
う。今日のそば好きの関心はもっぱら「もり」「せいろ」等シンプルなものに向かっているが、江戸時代と対照的であるのが面白い。
 Top