蕎麦観光の街”出石”に驚く(出石編1)               08-1-5記
 関西で蕎麦の町といえば「出石」、と今や相場が決まっている。約300年前信州上田の城主・千石政明公がお国替えで出石
城主になった折、信州から連れてきた蕎麦職人が「出石蕎麦」の元祖だという。純白の小皿(出石焼・白磁)に少量の蕎麦(5皿
一人前)を盛り付け、卵黄とおろし大根・すり山芋を薬味とする「様式」(下段右上写真)を「出石蕎麦」といつからか呼称するよう
になった。明治期の出石は、鉄道の敷設を拒んだために経済発展には乗り遅れたが、その分だけ古き良き時代の雰囲気が街
並みに残っていて観光資源となっている。毎年11月には「出石蕎麦祭り」が開催され多くの蕎麦愛好家が集まって来る。出石の
人口は約一万人足らずだが、その中に四十数軒の蕎麦屋が軒を連ね競っている。「蕎麦」なしに出石は語れないのである。
湖月堂 左京 出石蕎麦

1871年に建てられた辰鼓楼(時計台)の
直ぐ横にある老舗。地元産の蕎麦粉を使
う数少ないお店だという。一階は土産物
屋、二階が蕎麦屋。辰鼓楼が一望出来
て来客は多い。蕎麦打ち実演場もある。
 蕎麦粉は北海道、外10:1.5に山芋少々
の黒い細打ち。取り敢えず10皿を注文。
店内の壁に「食べた皿蕎麦の枚数ランキ
ング」が貼ってある。店名はお家騒動の
中心になった家老・千石左京
から取った。
 上段は出石蕎麦の基本形で一人前。
挽きぐるみなので色は黒い。鶏卵黄が付
くのは珍しい。下段は復元した出石城の
隅櫓。堀・石垣は現存している。本城は
明治の廃城令によって取り壊された
。             
蕎麦の味と香り 蕎麦は味も香りも基本的に薄いが、実の中心部と中層部・表層部では全く異なった風味になる。中心部
ほど色は白く味も香り薄く、表層部に近づくほど色が濃くなり味・香りも強くなる。また「蕎麦は喉で味わう」とも言われる。いわゆ
る喉ごし・食感である。粗挽きと細挽き、篩いによっても味・食感が変わってくる。蕎麦の味わいは蕎麦粉次第と言われる由縁
でもある。とは言っても蕎麦粉だけでなく「つなぎ」の割合も喉ごしに大きく影響するし、加水・練り・切り・延し・茹で・・の「打ち方」
すべてが味に関わってくるのは勿論のことである。「細切り」は繊細な感じになって喉ごしを良くし汁がらみもよくなる。一方「太切
り」は蕎麦の味をダイレクトに感じさせる。江戸時代から「切りべら23本」といって一寸幅の麺体を23本に切るのが基本であった。
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