麺の世界伝播への謎・・・中国とイタリアを繋ぐ輪             12-8-1          
穀物を原料として線状に加工された食品を仮に「麺」だと定義すると世界には数えきれないほどの麺が存在する。日本の蕎麦
(原料:ソバ)・うどん・ラーメン(コムギ)をはじめ、近くに中国の拉麺(コムギ)、韓国の冷麺(ソバ)、ベトナムのフォー(コメ)があり、
遠くはイタリアのパスタ(デュラムコムギ)が知られている。多種の穀物にわたり、加工方法も押し出し・切り・延ばしと多様である。
東アジアの麺の出発点は中国とされるが、西欧への伝播源とされるイタリアのパスタはどうか。マルコポーロがシルクロードを経
て中国から伝えたとする伝説、メソポタミアを源として中国・イタリアへ夫々伝わったとする説、中国・イタリアの独立二源説等があ
って判然としない。石毛直道氏はこれをミッシングリンク(失われた鎖の輪)と名付ける。中国とイタリアは歴史の糸で繋がるのか。
吟(奈良・生駒) 11-6-23 一如庵(奈良・宇陀市) 12-4-9 山帰来(奈良・飛鳥寺前) 12-4-27
店内中央に大きな丸テーブルがあり、そ
の周りに座る仕組み。粉は常陸秋そば。
やや細切り・硬めの蕎麦。歯ごたえは強
い。粗挽き十割は予約が必要。店内の窓
から生駒の清々しい風景が広がる。
築150年の実家を改造。雰囲気ある蕎麦
屋に仕上がっている。常陸秋そばが主。
白く弾力性のある喉越しの良い更科蕎
麦。緩やかに時が流れる空間を作って
いる。昨年ミシュラン★登録。
飛鳥寺の真ん前。各地蕎麦粉をブレンド。
粗挽き細切りの角の出た硬目の十割蕎
麦。実家を改造、蕎麦屋になって9年。脱
サラ(パナソニック)。週3日の営業。売り
切れ御免。柔和な物腰、家族で切り盛り。
蕎麦と女性と外国人 「蕎麦は日本人のしかも男の食べ物」と私は強く思い込んでいた。それは「ひとり蕎麦屋でゆっくり
と日本酒を楽しみ、最後に蕎麦を啜り込んで締める」という蕎麦に対する私の勝手な美意識が独り歩きしたものだが、最近この考
え方を少し修正しなくてはならないのか、と迷うようになった。昼下がりの蕎麦屋で若き女性のひとり盃する姿も決して珍しいことで
はなくなったし、元全日本サッカー監督のF・トルシエや元アップル社長の故S・ジョブズ等の外国人蕎麦好きが増えてきたと伝え聞
くからである。だが、”ひとり蕎麦前”の楽しみは分かるとしても、ズッズッと小さいながらも食音を発して蕎麦を啜り、鼻に抜ける余香
を楽しむ蕎麦食いの真髄が本当に判るのだろうか。次第に浸食されつつある私の隠れ家はぜひ残しておいて欲しいものだ、と祈る。
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