駿府は街道一の蕎麦処                       12-7-3
駿府(静岡市)はかつて徳川の天領であった。駿府城を建立したのは言うまでもなく徳川家康である。江戸転封によって一時駿
府を離れるが、将軍退位後再び大御所として帰駿する。今川の人質として囲われた幼少期から75歳で逝去するまで多くの時間を
過ごした駿府は、家康にとって思い入れの地であった。江戸の町づくりの時代、駿府が大発展した大御所時代、常に江戸と駿府の
間には人の交流が絶えなかった。また北には信濃・甲斐の蕎麦名産地が控え、南には東海道(19番府中宿)が上方と江戸を繋い
でいて蕎麦の伝播には事欠かなかったといえる。大政奉還の後、慶喜は駿府に蟄居するが、これには大勢の旗本・御家人が随伴
した。まさに江戸文化の駿府への大量移動でもあった。府中宿が街道きっての蕎麦処として知られたのも頷けるのではないか。
安田屋本店(静岡市) 12-5-28 徳川家康と駿府城 成木屋本店(熱海) 12-5-31
創業140年の4代目が経営する店。江戸蕎
麦の名店の集まり「木鉢会」のメンバー。
当主は慶応大卒で大阪・美々卯で4年間
修業したという。大正時代から今日まで
信州・柏原産の霧下蕎麦を使用している。
駿府城天守閣跡には最初の城主徳川家
康の像が建つ。今川の人質時代、大御所
時代を駿府で過ごす。駿府城は巽櫓・東
御門が再建されている。駿府は徳川家康
の町である。
熱海商店街の入り口にある老舗。約30年
ぶりの訪問。内外装とも昔のままだが、味
の方は?こちらの舌が変わったのか?そ
れとも?
蕎麦食と長寿 日本は世界の最長寿国として知られる。そのため日本人の生活習慣とりわけ食生活への関心が高まってい
る。日本の中で最長寿なのは長野県だが続いて福井・島根・富山県等の蕎麦処が上位を占めているため「そば食長寿説」を唱える
学者もいる。元来そばは良質のたんぱく質に恵まれ、ビタミンも豊富であることから栄養学的にも優れた特徴を持つが、中でもルチ
ンを含有する唯一の穀物として注目されている。ルチンは毛細血管を強くし高血圧・動脈硬化・脳溢血等の疾患予防に著効を持つ
川崎晃一教授(九大)がそばを常食するネパール・ムスタン住民を調査したところ高血圧者が皆無であることが確認されたという。
そば食(ルチン)が正常血圧の維持に有意に関与していることが判明したのはごく最近(2008年)のことなのである。嬉しいことだ。
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