「地産地消」が伝統食文化を創る           10-9-1                    
「うどんは馬子の喰ふもの」と迷亭先生に言わせたのは夏目漱石(「吾輩は猫である」)。漱石に限らず蕎麦好きにはうどんを見
下ろす癖があるようだ.。そもそもの歴史を辿ればうどんが蕎麦の兄貴分にあたることになるのだが。いずれにせよ世の麺好きは
江戸以来「蕎麦派とうどん派」に二分される。「東が蕎麦で西がうどんだ」とする説は余りに雑駁にすぎよう。現に西日本にも椎葉
村(宮崎)、祖谷(徳島)、奥出雲(島根)、出石(兵庫)等の蕎麦処があり、逆に稲庭(秋田)、北関東にもうどん処がある。冬が温
暖乾燥気候である瀬戸内・九州は小麦の産地でうどんの名所になったし、冷涼・寒暖の差が激しい日本アルプスの尾根伝いの
中山間地には蕎麦処(長野・山梨・山形・福島・・)が点在する。運搬手段の乏しかった時代に地産地消は当然のことであった。
むら玄(有馬) 12-4-8 京の四季(京都・伏見) 11-11-29 隠れ庵(川西市) 12-3-1
有馬温泉にある名店。週末・観桜のシー
ズンのため80分待ちの超繁忙店。「むら
玄芦屋」の姉妹店。「桜と蕎麦を楽しむ会」
メンバーと訪問。100年の古民家・香り高
い十割。昨年ミシュラン★登録。
京都らしい細長い道の突き当り。店内に
蕎麦打ち実演。信州産蕎麦粉の二八。
繋がりの良い端正で標準的な蕎麦。当主
は片倉康雄の孫弟子、大阪・美々卯で修
業、四条烏丸から移転して13年。
「日本一の田舎蕎麦」の貼り紙。豪語する
に足る出来栄えの粗挽き。透明感のある
やや太切りのしっかりした蕎麦。自信満々
の御主人。「自分の打つ蕎麦が一番美味
い」と信じつつ打つのが醍醐味という。
味覚センサー 味を客観的に数値化する「味覚センサー」が九大の都甲教授によって開発された。「甘味・酸味・塩味・苦味
・うま味」の五つが基本の味になるのだが、「味覚センサー」は食品を構成するこの「五つの味」を同時計測して数値化するもので、
人間の舌にある「味蕾」に相当するセンサー、いわば「人工舌」が開発されたということに近い。これで秘伝の味を正確に後世へ伝
えることも可能だし、食品会社が様々な味戦略を展開することも容易になる。言うまでもないが「味」と「おいしさ」とは異なった次元
の話だ。「味」は極めて客観的なものだが、「おいしさ」は個人の食経験や取り巻く文化に影響される。蕎麦の味は5味に加え「色」
「香り」「歯触り」「見た目」が大きく作用する。ウニの味は「プリン+醤油」、コーンスープは「牛乳+たくあん」ってご存知でした?
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