あの沖縄に「日本ソバ振興」が熱気を帯びて来た。     13-2-1            
 ソバ粉を一切使っていない「そば」が日本に三つある。「焼きそば・中華そば、そして沖縄そば」がそれだ。「そば」と呼称するに
は30%以上の蕎麦粉使用が条件(公正競争規約)なのだが、「沖縄そば(ソーキそば)」は例外になっている。琉球王朝の昔か
ら郷土そばとして根付いた永い歴史があったからである。また熱帯気候・酸性土壌の沖縄にはソバの在来種もなく、ソバは育た
ないと考えられてきた。ところが最近、九州沖縄農業研究センターを中心にソバ研究が進み、栽培の可能性が高まってきたので
ある。他方、老齢化の進む沖縄では労働集約的な農業(サトウキビ)が難しく耕作放棄地が激増してきたため、ソバの粗放栽培
に注目が集まったという事情もある。ソバ栽培の先頭を走る大宜味村では村内の蕎麦屋で現地産の蕎麦を賞味出来るという。
美濃作(那覇)  13-1-8 大宜味村のソバ栽培と月桃そば そば to すば(那覇)  13-1-9
ご主人は元々は日本料理人で本土復帰
前に料理の指導に来沖、35年前に「日本
蕎麦屋」を開店。沖縄の「日本蕎麦」開拓
者・小山健氏69歳はなお健在である。月
桃蕎麦の開発者でもある。
上段は大宜味村で見事に開花したソバ。
実験段階だが1〜5月が収穫時期にな
る。本土の好事家の熱い眼差しが注が
れている。下段は月桃の葉の上に盛ら
れた蕎麦。(裏)美しく咲く月桃の花。
 山形産「でわかおり」の十割が楽しめる。
ご主人は山形の出身。従業員も岩手・宮
東京と多彩。開店11年を迎える。店名
の「すば」は沖縄の方言で「そば」の意。
創業は平成14年。
月桃そば 月桃の葉を瞬間冷凍させて破砕して作った粉を御前粉(更科粉)に2%程練り込んで仕上げる「変わり蕎麦」の一種。
沖縄・那覇の蕎麦屋「美濃作」でしか味わうことが出来ない。月桃の葉の上に盛られた蕎麦は見事な濃い緑色をしている。薄緑色
をした新蕎麦や、クロレラを混ぜ込んだ「藪そば」の緑色のお蕎麦は見たが、これほど鮮やかな緑色には初めてお目にかかる。月
桃は「熱帯・亜熱帯に自生しているショウガ科ハナミョウガ属の多年生常緑草木」で種子は漢方の健胃剤であり、カレーの香辛料
としても使われている。伝統的な食文化として深く沖縄の人々の中に沁み込んだ「ソーキそば」への挑戦だったのであろう。弾力が
あって喉越し抜群、香りの高い月桃蕎麦には、「美濃作」のご当主小山健氏の日本蕎麦へ対する限りない愛着が感じ取れる。
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