聖一国師の石臼が日本の麺文化を創った     13-4-1
            
 ”ゴロゴロ・・・”心地よい低音を聴きながら石臼の縁から零れてくる白い蕎麦粉を見ていると、ふと昔にタイムスリップしたような
感覚に襲われる。石臼の歴史は古い。我が国の初見は、聖一国師(1202〜1280)が中国から持ち帰った「水磨様」(石臼式水力
製粉)の絵図(京都・東福寺在)である。米食(粒食)主体の日本ではパン食の欧米とは異なり、先ずは茶挽きに重宝され寺院を
中心に全国に伝わることになる。が、一般に普及するのは蕎麦切りが定着するする江戸時代中期を待たなければならなかった。
現在も、自家製粉の蕎麦屋では勿論のこと製粉会社でも石臼は上質な蕎麦粉を作るのには必須器材になっている。機械挽き
(ロール)に比べ回転速度が遅いため熱焼けが少ない上に、粒度分布(大小様々な粉粒)も広いので香り・味に優れると言われる。
千角(京都)  13-1-29 いっ時あん(宝塚・中山寺) 11-1-26 とき(大阪・北新地) 09-12-14
東大路通りにある小奇麗なお店。「茹で野
菜と生湯葉の温汁せいろ」を注文。最近
流行りの「つけ蕎麦」がお勧め。音威子府
産粉の二八。奥さんの愛嬌が良い。ご主
人は東京の本むら庵で修業した。
JR中山寺から徒歩5分。座敷中心の和風
のお店。小上がりの座敷に通る。丸岡産
の十割を注文する。濃い口の出汁、喉越
しの良いそば。自家製粉。インテリアも和
風に拘って念入りに作っている。
JR東西線・北新地駅から直ぐ。夜中心
のお店と見た。昼食時はサラリーマンで
満席。回転が速い。巻き寿司が付いてく
る。北海道・音威子府産の粉を使う。一
度夜に来てみたい。
マルクス石臼 あのカール・マルクスが蕎麦好きだったと言い張るつもりはないが、彼の主著「資本論」の中でまぎれもなく
石臼が論じられている。「機械の基本形態は、ローマ帝国が水車式石臼製粉工場・・・機械の全発達史は小麦工場の歴史によっ
て追求できる」「手回し挽き臼は諸君に封建領主を支配者とする社会を与え、蒸気挽き臼は資本家を支配者とする社会を諸君に与
えるだろう」(「粉」三輪茂雄)と。石臼を動かす動力(人力・畜力・水力・風力・蒸気・・)の発展が時代の社会体制を決定する、マルク
ス主義の中核をなす仮説だろう。残念ながらマルクス(1818〜1893年)は電力というものをほとんど知らずに亡くなった。電力と
応用機器の広範な普及を彼がもし予知できていたら・・・「どのような社会体制の到来を予言したか」・・ぜひ知りたいものである。
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