三段重ねの割り子蕎麦を楽しむ(出雲編1)         08-3-14記
 出雲でそばが栽培されたのは古く平安時代に遡るという。救荒食としてであった。が、「蕎麦切り」が急速に普及したのは、初
代藩主・松平直政公(1601〜1663)が信州松本から移封されてからのこと。第七代不眛公(茶人として高名)の時代に茶道文
化と共に栄えたのだ
甘皮のついたままの実をそのまま挽き込む、いわゆる「挽きぐるみ」の粉を使うので、ごわごわした食
感で野趣に富んでいる。江戸蕎麦とは違い太切りで力強い蕎麦だ。写真最右上段のような朱塗りの”割子”(三段)に蕎麦を
盛り、この上から薬味とつゆを直接かけて食べるのが出雲蕎麦の流儀である。東京の「江戸ソバリエ」に相当する「出雲ソバ
リエ」認定制度もある。「出雲そば」は信州・山形・会津等と並んで知名度抜群。10月は「神在月出雲全国そばまつり」で賑う。
ふなつ〔松江) 08-2-6 荒木屋(出雲) 08-2-7 八雲庵(松江) 08-2-6

 循環バスの女性運転手の推奨で「ふな
つ」を訪れる。奥出雲産の生粉打ち。弾
力性が強く歯ごたえのある蕎麦。出雲に
しては細切り。ご当主は大学卒の学士
蕎麦職人と聞く。  
 出雲大社近くのにある江戸末期創業の
名店。40年ぶりの訪問になる。当時と比
べ大型店舗化して、店員も多い。が、も
てなしの心も、蕎麦の味も変わっていな
い。「割子三代蕎麦」も健在である。
松江城堀川沿いの武家屋敷風の門構
えの広い敷地。ここも40年ぶりの再訪。
店内はタレント・有名人の色紙で一杯に
なっている。が、歯ごたえのある出雲ら
しい確りした蕎麦は変わっていない。  
蕎麦の味わい方(2) 「蕎麦とワインは似ている」と言うと、「はてな」と奇妙に感じる人もいるだろう。蕎麦はよく「香りと喉
ごしが生命だ」と言われる。「最初は何もつけずに、次に塩をつけて、最後に出汁に漬けて食べてください」と蕎麦屋から勧めら
れた経験をお持ちの方、蕎麦通を自称する人が「蕎麦に直接山葵を載せて食べる姿をご覧になった方も多いのではないか。
いずれも蕎麦の香りに拘った食べ方である。これは、「色を愛で、香りを楽しみ、口腔全体で味わう」というワインに似ている。そ
こまでいえば、「成るほど」と頷く人も出て来るのではないだろうか。ことの良悪・正誤は別として、ワインと同様、蕎麦も食べ方
の薀蓄が多い食べ物である。ワイン・珈琲等と並んで嗜好性の高い食物である。打ち手も客も拘りの強いのが特徴である。
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