蕎麦を食べるのに作法はあるのか        13-12-1
蕎麦はなぜか「食べる作法」にうるさい、と思われている。「正しい蕎麦の食べ方」はあるのだろうか。答えは”NOだが、より美
味しく・美しく食べる方法はある。私見を纏めてみよう。先ずは(1)直ぐ食べること。蕎麦は生き物、乾燥もするしノビもする。話
は後、食べるが先、である。(2)汁は味をみて漬け方を決める。辛い汁には少し、薄い汁にはどっぷり。至極当たり前のことだ
ろう。(3)ズッズッーと啜って適度に噛んで食べる。最小限度のの食音は蕎麦屋では許される。ズルズル・グチャグチャは見苦
しい。(4)蕎麦に直接付けるも良し、汁に溶かすも良し各人の好みだろう。山葵は元々鰹の臭い消し用だ。(5)締めは蕎麦湯。
そば汁を加え山葵を加えて飲む。歌舞伎「雪暮夜入谷畦道」のような「粋な食べ方」もある。時に気取ってみるのもどうか。
 
花もも(京都・丸太町)  13-4-9    「わたつね」(京都・烏丸) 13-9-26
 御所のすぐ南にあるこじんまりしたお
店。玄関を入ると6人掛けの大卓だけ、相
席。二階は座敷になる。蕎麦は三地域の
ブレンドした粉の二八。長く繋がってい
る。自家挽きに拘るのはご主人の信念。
  蕎麦専門店を想像したが、店内は大衆
食堂。十割蕎麦から丼・焼き魚定食まで
ある。粉は買入れだが粗挽きの十割、本
格派だ。「唐船そば」・・やや細めの二八。
 
蕎麦屋の”おもてなし” 「おもてなし」は滝川クリステルが使って一躍流行語になった。「おもてなし」は日本人の心といっ
ても良いだろう。そこで「蕎麦屋のおもてなし」だが、「売り切れ御免」を掲げるお店は少なくないし、「二八のざる」しか品書きに
ないお店や、冬でも「温かいそば」を出さないお店も決して珍しくない。とかく蕎麦屋は我が儘で自分勝手に見える。が、真正の
蕎麦屋は早朝からその日必要な分量の粉を石臼で挽き、蕎麦を打つ(4〜6s)、これで4〜5時間はかかる。「三たて(挽きた
て・打ち立て・茹でたて)」に拘る蕎麦屋の日課なのだ。蕎麦屋の「おもてなし」は実はお客に見えない舞台裏に隠されている。
蕎麦は生もの、壊れやすくて保存の効かない食べ物だからだ。他の麺類とここの所が違う。「蕎麦屋だけの一期一会」なのだ。
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