蕎麦の味は多様・・打ち手の個性が表れる。      14-4-1
 ソバ粉と水だけが材料、「蕎麦」は一番単純な食物である。が、百店百様、夫々お店の個性が「蕎麦」に出る。何に故か?
蕎麦の味は=「ソバ産地×挽き・篩い×つなぎ×捏ね×伸し×切り×茹で×つけ汁・薬味」でほぼ決まりだが、夫々に地方
の風土・習慣が色濃く滲んでいるうえに、打ち手の拘りが込められている。例えば、蕎麦屋は産地農家と直接取引しブレンド
もする。「挽きと篩い」の仕方で純白の更科粉から黒い田舎蕎麦まで自在である。「つなぎ」は小麦粉・ふのり・卵等々数多く
喉越し・味に影響する。「切り」は太い細いで汁絡み・食感が変わる。「つけ汁」も江戸風・越前風・・・と地方の・習慣によって
異なる。かくして多くの郷土蕎麦が残り、新しい蕎麦屋が誕生する。蕎麦打ちは「百味百店」、味わい方も「百人百様」なのだ。
 
ミューラー(京都) 13-12-5  こと(宇治) 13-11-29  ゆる里(篠山) 13-9-26
ミューラーはドイツ語で粉挽き屋のこと。
寺田屋近く、竜馬通りにある二階建て。

一階は9席、二階は座敷で宴会も出来
る。蕎麦粉は丸岡産在来種。九一のや
や細切り。脱サラの拘り親爺のお店。
 女性一人で切り盛りしているお店。名前
の「誠」から「ま」をとり「こと」にしたとい
う。馴染み客が多い店。「カラオケルー
ム」併設。話好きの女将と長話。蕎麦粉
は滋賀県産。九一やや硬い。
 名前の「ゆるり」とは違って繁盛店。
長い卓(6席×4卓)なので相席になる。
龍野と岡山の蕎麦粉のブレンド。「十割
おろし蕎麦」・・細切りに辛味大根おろし
が良く絡んでいる。
 
女性と蕎麦 消費地江戸は別にして、田舎の生産地では「蕎麦打ち」は昔から女性の仕事、道具は嫁入り支度に加えられる
のが常であった。ところが、江戸では蕎麦はもっぱら男の食べ物。女性には「汁をおきながら一はしニ箸めんを椀よりすくひ入
て、さて汁をとりあげくふべし。そのゝちは汁を手にもちすくひ入、くひてもくるしからず。・・・蕎麦切など男のやうに、汁をかけく
ふ事有べからず」」(「女重宝記」元禄5年・1692)、と箸の上げ下ろしまで干渉している。が、平成の現世では女性客が珍しいど
ころか、ひとり蕎麦前(酒)を楽しむ姿も珍しくない。とはいえ、男性客数の優位は動かない。そのためかスイーツを品書きに加
える蕎麦屋が増えた。昨今は女性が世の中を動かし変えるのが常である。蕎麦の世界も例外ではない。楽しみがまた増えた。
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