世界に進出する和食・・・ 寿司に続いて蕎麦も・・・          14-3-1  
昨年「和食」が世界無形文化財に登録された。既に自動車・家電などの製造技術が世界の頂点を極め、アニメが世界で高い評価
を受けているのに続いて、今度は日本の食文化が世界へ進出して行く番が来たのだ。既に寿司は世界各地に根を下ろしたかに見
えるし、「蕎麦」もニューヨーク・パリ等、世界の大都市に進出して久しい。包丁さばきの妙技や出汁の「うまみ」、その簡素な佇まい
に注目が集まっている。啜るという習慣が無く、食音に敏感な彼等に果たして本当に「蕎麦」が受け入れられるのか、見ものである。
四季の彩り・繊細な盛り付けや食器・出汁のうまみ・健康に良い等、和食固有の特長と共に、「いただきます」「ごちそうさま」にみる
感謝の気持ち、一期一会の「おもてなし」の心も忘れずに伝えて貰いたいものである。和食は日本人独自の精神文化なのだから。
 
松玄(ホノルル) 14-1-30 「そば日本」(NY)と「円」(パリ)
写真はネットから借用

東京・麻布十番にある「松玄」の支店。日
本人客中心の蕎麦屋らしい雰囲気が漂う
お店である。蕎麦粉は北海道から引いて
いる。「四六のせいろ」が一番メニュー。
店の中央に木鉢・打ち台がある。毎朝現
地人が手打ちするという。
 NYの「そば日本」、パリの「円」は実際に
 訪問はしていません。
上段:ニューヨーク五番街にある蕎麦屋
「そば日本」。カナダにそば畑25エーカー
を持つ。オーナーは岡倉伸次氏である。
下段:パリの蕎麦屋「円(えん)」。オンワ
ード樫山が経営する。店長は高橋邦弘氏
の弟子、長坂「翁」で修業。創業12年。
 
禅と蕎麦 禅が日本人の精神構造の形成に大きな影響を与えたことに異論はあるまい。禅宗は中国に生まれ日本で独自の発
展を遂げた宗教である。鎌倉・室町時代、多くの禅僧が中国に渡り様々な文化を日本にもたらした。日本独自の文化といわれる俳
句・能楽・造園・生花・茶の湯等はすべてこの時代に誕生したものである。「簡素で清々しい」という美意識・・・論理的にではなく直
覚的に物事の最深の真理を捉える・・・が日本人の心に住みついたのである。禅宗の開祖・道元師は人間生活の基本である「食」
を重んじる人であり、この時期に完成されたといわれる「懐石料理」にもその影響が窺われる。禅寺で生まれ育った「蕎麦切り」が
禅の美意識を遺伝子として組み込んだのも至極当然のことであった。「贅沢な粗食」の地位を今もなお蕎麦は堅持している。
   
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