「月桃そば」       沖縄県 「美濃作」  13-1-8

 沖縄には戦前から「ソーキそば」(小麦粉100%、ソバ粉は入っていない)があって日本蕎麦は
 なかなか普及しなかった。亜熱帯気候であるため近年までソバの栽培も不適地とされていた。
 小山健氏(美濃作の当主)は福島県出身で沖縄とは関わりがなかったが、本土復帰前に日本
 料理の
指導に訪沖しつながりが出来、ついには日本蕎麦店を開店することになったのだが、馴染
 の少ない日本蕎麦は苦戦の連続であった。そこで思いついたのが、現地で「命の薬」として知ら
 れる亜熱帯植物「月桃」の葉(芭蕉に似た葉)を粉にして蕎麦に練りこむことであった。これが話
 題を呼び次第に人気店になった。伝統のあるいわゆる郷土蕎麦とは言えないが、郷土色の強い
 蕎麦ということで今回掲載したわけである。

 月桃は現地では「ぬちぐすり」(命の薬)と言われ、お茶・染液・繊維をはじめ香りと殺菌効果を
 生かしてルームスプレー・虫除けスプレー等にも使われている。

  ←月桃(使うのは葉)