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世界の蕎麦物語① 「そば」はロシアのソウルフードなのです 世界一のそば消費国は日本ではなくロシアだといったらさぞ驚かれる方が多いことでしょう。なんとロシア人の一人当たりの年間そば消費量は日本の約十倍になるといます。ロシアは世界一のそば消費国なのです。 「マースレニツァ」というお祭りをご存じでしょうか。長く厳しい冬が去り、躍動する春を迎えることを祝うめに、 ![]() またロシアには「母はソバの実のカーシャ、父はライ麦の黒パン」という古くから伝わる諺があり、カーシャが黒パンと共にロシア国民の生活奥深くまで染み込んでいて、永い間暮らしを支えてきたことを物語っています。カーシャは古くから農民の食卓に上がっていたといわれ、ロシア人の母であれば誰でも作り方を知っているといわれる伝統的な家庭料理です。
こんなトピックニュースが「RUSSIA BEYOND」に紹介されていましたのでご紹介しましょう。「新型コロナウイルスの感染爆発が始まった昨年三月にスーパーの棚から真っ先になくなったのはグレーチカ(そば粉)とトイレットペーパーであった。グレーチカはロシアではもっとも重要なサバイバルキットのひとつなのだ」・・・なかなか信じがたい光景ですが、それほどそばはロシア人に親しまれている食品なのでしょう。ロシアではそば粉が数百グラム~数キログラム単位で袋詰めになって食料品店に置かれているのが普通のことなのです。近年では小袋で約10分間沸騰したお湯に入れれば完成する即席タイプもあるといいます。 グレーチカが安価で調理が簡単で、いつでも手に入りやすい食品であったことが普及の大きな要因になっているのでしょうが、もう一つ「栄養価」に優れた食品であったことを忘れてはなりません。第二次世界大戦中、「グレーチカ」と肉の缶詰はもっとも典型的な軍隊の食事であったことは紛れもない事実です。今でも、戦勝記念日のお祝いに「戦線での食事」の象徴としてグレーチカが食卓を飾るといいます。我が国とはまた違った意味でグレーチカはロシアの重要な食文化なのです。 ロシアに旅された方は、ビュッフェスタイルの朝食には必ずカーシャ(そば粥)が並んでいるのを目にされたことと思います。それほどロシア人にとっては欠かせない料理なのです。 ロシアにソバが伝来したのは12世紀頃のことだといわれています。そばの起源地である中国南部からからモンゴル、トルコを経てギリシャへ、北上しロシアへ伝わったとされています。ロシアのそば生産は言うまでもなく、栽培面積・収穫高ともに世界一なのですが、なかでもシベリア最南部にあるアルタイ地方が中心で、これに続いて中央ロシア・ヴォルガ河沿線地方で収穫されるのです。「グレーチカ」という言葉も本来はギリシャ人を指すもので、ギリシャ人が持ってきた穀物であるという意味だと解釈されています。 ロシアは生産・消費とも、名実ともに世界一の「蕎麦王国」なのです。
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