蕎麦の常識非常識⑩ 「東京」は世界一の美食都市か? 「東京は世界一の美食都市である」と喝破したのは、日本人ではなくてあのミシュランガイドの第6代総責任者のジャン・リュック・ナレでした。 参考まで2023年のミシュランガイドによる美食都市の世界ランキング(星を獲得した店の数)を示すと次のようになります。 第1位・・東京201店、第2位・・パリ118店、第3位・・京都107店、 日本料理の「高度な技術と拘り」が高い評価を受け、世界一の美食都市とされたわけなのです。ナレは、東京が世界ダントッの首位にある理由を次のように説明しています。 「日本料理の料理人は数世代、数百年かけて伝えられた料理人固有の技術と伝統の継承性はどの都市のレベルよりも高い。私が行った飲食店はほとんど寿司屋、天ぷら屋、焼き鳥店、蕎麦屋など・・・専門店に細分化されていた。それが非常に印象的でした。こうした特性から日本の飲食店の相当数は誰も追いつけない専門性を確得していた」というのです。 ミシュランガイド東京に掲載された飲食店(星とビグルマン*)の中から、ナレがいう「細分化された専門店」を拾い上げてみると、なんと3分の1以上がそれに該当していました。上位から並べてみると、寿司屋42店、ラーメン屋21店、蕎麦屋20店、天ぷら屋18店、とんかつ屋18店の順になります。 このように専門細分化され、その奥義を極めようとする飲食店はどうやら日本だけに見られる現象の様です。フランスやイタリア料理は何処へ行ってもあのコース料理で、日本のように専門細分化して発展することはありませんでした。 「数世代、数百年かけて伝えられた料理人固有の技術と伝統の継承性はどの都市のレベルよりも高い」とナレが日本の専門店を評して言った言葉を引用しましたが、それを読んで思い出したことがあります。
ところで現在はということになると、何といっても日本最大のグルメサイトは「食べログ」でしょう。登録店数80万店以上で月間利用者数1億人を超えるといいますから巨大なサイトといわざるを得ません。その巨大サイトの蕎麦屋ランキングベストテンは次のようになっています。(令和5年2月10日現在) 少し本題から外れますが参考までに記載しておきます。 ➀玉笑(東京)、②藪蕎麦宮本(静岡)、③慈久庵(茨城)、④仲佐(岐阜)、⑤赤間茶屋あ三五(福岡)、⑤山の実(長野)、⑦ろあん松田(兵庫)、⑧流山すず季(千葉)、⑨玄(奈良)、⑨土家(東京) ミシュラン掲載店(各地域)と「食べログ全国ベストテン」は対象範囲(地域)が異なるので直接対比するには無理があるのですが、あえて一致度を測るために「食べログベストテン」の中でミシュランに掲載されているのは数えてみると8店になります。10店のうちの8店ですから、かなり一致度が高いのではないでしょうか。 かくいう私もこれまでに北海道から沖縄まで約400店(ハワイも1店)余の蕎麦屋訪問をしましたが、食べログ全国ベストテンの中で訪問したお店は、仲佐・あ三五・ろあん松田・玄の僅か4店だけです。世間は広いですね。勉強が足りません。 *ビグルマン 1997年に星ではないが良質な料理であることは当然として「価格以上の満足感が得られる料理」として、ビブグルマンは登場しました。
価格は国ごとに設定されているのですが、日本の場合は6000円が目途とされているとされています。
|