「世界無形文化遺産」を目指す懐石料理      11-8-10
世界三大美食国といえばフランス・中国・トルコだと言われる。三国に共通するのは贅を尽くした宮廷料理があることだ
ろう。その美食の国フランスが誇る「ミシュランガイド」(1900年創刊)に昨年から異変が起こった。東京が星数で圧倒的
にパリを抜き去ったのだ。日本の専門店(寿司・蕎麦・鰻等々)の高度な技術と拘りが高い評価を受け、世界一の美食
都市とされたからである。今年になって「世界無形文化遺産」に和食の登録を目指して農水省が動き始めた。すでにフ
ランス・メキシコ・地中海四か国が登録。韓国(キムチ)も申請中だ。評価対象は料理自体ではなく食文化である。、「素
材重視・出汁の旨み・包丁と箸」は独自の食文化である。日本文化が凝縮された蕎麦もその当然一翼を担う筈である。
 
 むとう(三越前) 11-7-7 ミシュランガイド2011年  たじま(広尾) 11-7-8
 
喧噪の街中に佇む静かなオアシス。店
内は仕切りのある個室風の設計。店主は
一茶庵で修業し8年前に開店。やや太め
目の十割を打つ。粉は戸隠。昨年ミシュラ
ン★に登録された。
フランスのタイヤメーカー・ミシュランが1900年に始めた世界で最も信用あるレストラン・ホテルガイドブック。2008年東京へ進出。調査員の覆面訪問で有名。 ビルの一階、入り口の割に店内は広い。
店前の大通りから店を遮蔽する設計は工
夫されている。女性の接客態度は極めて
よい。旬の野菜料理がウリらしい。
昨年ミシュラン★登録。
 
蕎麦屋の仕事 蕎麦屋の主人には凝り性が多い。蕎麦のあの黒い小さな殻の中には人を吸い寄せて止まない魔
性が住みついているらしい。蕎麦粉と水という単純な素材、加水から切り上がりまで30分前後、茹でるのに数十秒。蕎麦
打ちの工程は何ともシンプルに見える。が、最近は「自分好みの蕎麦粉」つくりに精励する蕎麦屋が少なくない。蕎麦の
美味さは「蕎麦粉」にあるからだ。玄蕎麦(丸抜き)の選別・磨き・石臼手挽き・篩い、気が遠くなるほど時間がかかる前工
程だ。「そばを作るのは退屈です。、同じ仕事を繰り返しているのですから。しかし簡単なことほど貫くのは難しいのです。
その繰り返しを手を抜かずにこまめにする。そこからいいものが生まれてくるのだ」(堀田平八郎「江戸蕎麦一筋」)という。  
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